電車のつり革

仕事帰りのある日、いつものように終電に乗って家に帰ることにしました。
電車でシートに座り、ふと周りを見た。
平日の田舎の終電なんて車両に2,3人くらい乗っていれば多いくらいである。今日は私一人貸し切り状態だ。こんなことよくあることだ。
だが、ひとつ目に留まるものがあった。
つり革だ。
電車も走っているので当然つり革も揺れるものではあるが、一つだけ一切揺れないつり革があった。
不思議なことがあるものだと思い、視線を落とし、携帯をいじり始めた。
もうすぐ自分の降りる駅になるので視線を上げて、さっきの一切揺れないつり革を見てみたら、通常通り揺れているので、
「気のせいだったのかな?」
と思った矢先、自分のシートの前のつり革が一切揺れていなかった。
「気のせいではなかったのだろうか。しかし、どういう原理でこのつり革は揺れないのだろうか」
と足りない頭をひねって考えていたら
「見えているの?」
と女性の声が目の前から聞こえてきた。
ゾクッっとした。
目の前を含め、私の周りには誰もいない。
携帯もゲームをやっていたとはいえ、マナーモードにしていて音は出ないようにしている。
そして私は思わず
「いいえ、見えてません」
と答えてしまいました。
すると駅に着いたので逃げるように走って電車を降りていきました。
あの声は一体なんだったのでしょうか。
私にも霊感というものがあれば声の主が見えたのでしょうか。
私が2年前に経験した話でした。